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指マン

クリトリスが大好きなHな女子のためにクリ責め小説や漫画を紹介!
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2015/07/01(水)
 おかしい。
 ケンジの言葉が、ダイレクトに指に伝わってしまう。
 頭がどうかなりそうだ。
 指はゆっくりじゃなきゃいけないんだ。
 なのに、もう。
 どんどん、速く、そこを弾くように。
 ピチカートでアレグロでフォルテッシモ。
 左右に震わせて。
 上下に撫でて。
 押さえて、緩めて、回して、撫でて。
 
「もしかして、日曜も空く? スケートの次の日だから、連チャンになっちゃうけど」
「い、いい、よっ、……ああああっ、ケンジごめんっ、もう指がっ」
「じゃ、俺のウチに来る?」
「うぅっ、うんっっ」
 ケンジはもう、指図しなくなっていた。
 ただ、自分のペースで好きに話を続けている。
 ――だけど、私は。
 喘ぎ混じりで必死に受け答えしながら、だけど快感のベールが頭を覆い尽くし、ほとんど何も考えられない。
 ――ああ、昇っていく。
 昇り始めて、痺れたみたいに、背筋がぞくぞくして……。
 
「俺がクリ好きなのはもう十分わかってるだろ。……でも、マリはどうなのよ?」
「んっ、え、……んんっ?」
「俺としては、愛するカノジョに自分の趣味を理解して欲しい。ホントのこと言えば、理解というより、嗜好を共有する同志になって欲しいけど」
 私の頭は、完全に馬鹿になっていた。
 ヤツが何を言ってるのか、相変わらずよくわからない。
 理解するための余白が残っていなかった。
 小さな火花が、どんどん大きな花火に変わっていく。
 もう少しスピードを落とさなきゃ、間違いなくすぐにイく。
 だけど指は、激しくクリを弾き続ける。
 そしてまた、熱い炸裂の予感が一気に膨らんだ。
 
「も、もう、イっちゃうっ」
「マリクリのこと、好きになってるか?」
「えぇっ? あ、ああっ、い、やっっ、もう、もうっっ」
 激しい快感が背骨に沿って這い上がってきた。
 それが突然頭の中で破裂し、目の奥がカっと熱くなった。

 お腹の中で、何かがきゅっとなった。
 次の瞬間、全身に震えが走った。
「マリクリは、俺のこと好きか?」
「あ、ああっ、す、きっ」
「マリは? マリはマリクリ好きか?」
「んああっ、……す、好きぃ。ああ、いやっ、イっちゃうイっちゃうっ、……ぁあイく、イくぅっ」
 背中が反って、足がつっぱった。
 右手に掴んだ携帯を、強く握りしめていた。
 股間に伸ばした手が、強く押しつけられた。
 ぬるっと、指が滑った。
「んんんあっ」
「そのまま触り続けて。指は止めるな」
「んうぅっ」
 強くそこを押さえこんだ指が、再び動き出した。
 頭の中では、必死に何かのイメージを追おうとしていた。
 でも、何も浮かんでこなかった。
 ただ、すぐにまた快感の波が寄せてくる。
 波の動きにあわせて、次々と小さな爆発があった。
 鋭い快感があわさって、痺れるような波になる。
 大きな波に、一瞬指が離れた。
 ――あ、駄目っ。もっと、まだ、まだやめないっ。
 すぐに指を戻した。
 普段だったら、とっくに離して脱力している。
 でも、今日はそのまま、指を動かし続けた。
 刺激が強すぎて、ちょっと辛い。
 それでも、指を動かす。
 クリを小刻みに震わせる。
 あああっ、まだっ、いい。
 イくのが、長い。
 ああ、ああ、ああ、ああああっ……。
 さすがに、刺激が苦しくなった。
 ただじっと押さえるだけにした。
 そうしているだけでも、脈に合わせて弾ける快感が残っている。
 ああ、気持ちいい……。
 いっぱい感じてる。
 そっか……。今まではすぐに離しちゃってたけど、もういいって思った後にも快感はあるんだ……。
 それからも何回か、びくっとなった。
 そして、その間隔が徐々に長くなり、やがて止まった。

急に静かになっていた。
 布団の中が、自分の体温で熱い。
「マリ、どうだった?」
「ん……イった。んんっ、まだ、気持ちぃぃ……」
「マリクリは? 満足した?」
「あ……、う、ん」
「そっか。俺とマリって仲間だな」
「……んんん」
 途方もなくヤらしくて、それに超恥ずかしい話をしてる。
 だけど、あまり気にならない。
 倦怠感の混じる余韻の中で、ほわほわとした気分に満たされている。
 
「じゃあ土曜はスケート、日曜はマリクリ・デーってことで」
「あ、……うん」
 ケンジの声は落ち着いていた。
 でも、マジで嬉しそうな感じが伝わってきた。
 余韻と恥ずかしさで、こっちは全身が火照っている。
 
「マリ」
「うん」
「好きだ」
「……うん、私も」
「マリクリ」
「うっ、……う、ん」
「好きだ」
「う、ん……」
 阿呆な会話が、甘く感じた。
 日曜日はまた、ヤツと二人きりになるらしい。
 たった今イったばかりだというのに、それが待ち遠しい。
 やっぱ私は、ケンジのエロ・ウイルスに感染してしまったみたいだった。

END



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2015/07/01(水)
  動悸が激しい。
 顔が熱い。
 自分の心臓の鼓動が聞こえてきそうだった。
 ケンジの代わりに、私がする……?
 ああ、でも、そんなの、……もう、駄目だ。
 私の指はいつでも動く準備ができている。
 まるで陸上の選手みたいに、スタートの合図を待っていた。
 クラウチング・スタートなら、もう腰上げちゃってる。
 ――そして。
 ケンジが静かに言った。
「俺、マリクリ吸いたい……」
 それがスタートの合図かどうかは、もう関係なかった。
 カーっと頭が熱くなり、指が勝手に動いていた。
 十分に昂ぶっていた身体に、いきなり快感が弾けた。
「ああ、ああっ!」
 
 挟んだまま、上下にしごいた。
 痛いほどの快感が走り抜け、全身がびくびくと跳ねた。
 
「指、動かしたのか?」
「あんんっっ、う、んっっ、動いちゃ、た……」
「いいよ。そのかわり思いっきりだぞ、思いっきりヤらしく触って」
「んあっ、いやぁっ」
 興奮がぶわっと大きくなって、腰がくねる。
 今までで一番強引な触り方をしていた。
 指先で襞をずらし、中にも触る。
 直接触れた。
 表面がぴんと張りつめている。
 濡れた指先で押すようにしながらクニクニと捏ねるように回した。
「ぅくっっっ」 
「感じてるか?」
「んんんっ、か、感じて、るっ……」
「今度はイきそうになるまでやめちゃ駄目だからな」
「あう、う、んっ」
 次から次へ新しい快感がわき上がる。
 私の指は、何の遠慮もなくクリを捏ねくりまわす。
 普段だったら苦しいくらいの、強引な触り方。
 でも、それがたまらなく気持ちよかった。

喉の奧から引きずり出されるみたいに、ひっきりなしに声が溢れていた。
「んああっ、んあああっ」
「どこをどうしてるのか言ってみ?」
「あ、んん、あ、そこを、指で、擦るみたい、にっ、あっ、ああっ」
「いつもそうやってんの?」
「ああ、違う、いつもは、もっと……そっと、でも、でも、ああっ、ケンジぃ。駄目、もう、イっちゃいそう……」
「好きなだけ感じればいいんだ。でも、イく寸前で必ず止めろよ」
「ああっ、どんどん、気持ち……うわっ」
 鋭い快感が、またひとまわり大きくなった。
 人さし指と薬指で左右の襞をずりあげるようにした。
 中心で顕になった突起を中指が小刻みにタップしている。
 そのリズムにあわせて次々と快感が走り抜け、前の衝撃を追い抜いていく。
 気がつくと、凄い勢いで昇り始めていた。
 高速のエスカレーターで、一気に頂上を目指しているみたいだ。
 目の前に、快感の飽和点が迫っていた。
 
「あ、あっ、ケン、ジ、マジで、イっちゃうよっ」
「……早いな」
「ああ、嘘、もうっ、あ、ああっ、イっ」
「ストップ! マリ、指止めて」
「いやあっっ」
 ――ああああああああああ。
 イく直前だった。
 でも、指を離した。
 突然刺激が消えたというそのことで、身体がびくんっと震えた。
 震えて、勝手にイこうとする。
 何度か痙攣した。
 その度に、お腹の奧がきゅうっとなった。
 でも、ぎりぎりイってなかった。
 
「あああっ。止、め、たっ。指、離した……」
「ふふ、マジメじゃん。素直に言うこときいて可愛いなあ」
「……ああでも、もう、もうっ」
「もう、何?」
「イきたいよっ……」
「じゃあ、指で押さえて。動かさずに、じっと押さえてて」
「ああああ……」
 私はヤツの操り人形になっていた。
 いわれたままに、指示された通りに動く。
 指で押さえた。

 動かさずに、そうしているのはちょっと辛かった。
 でも、たまらなく興奮する。
 普段のひとりエッチとは全然違う。
 凄く感じる。
 ただ、すでに限界ギリギリだった。
 目の前に快感の頂きが見えている。
 そこにたどり着きたくて仕方なくなってる。
 
「押さえた、けど、ああっ、駄目っ、指、動きそう……」
「我慢して。どうしても我慢できなくなったら、ちゃんとそういうんだぞ?」
「……触ってたら、もう、我慢っ、できないっ」
 少しずつ、指が動きだす。
 止めようとしてるのに、それが難しかった。
 ――ああ、ホントに駄目。
 凄くイきたいけど、指を動かそうとは思ってない。
 なのに、クリの脈動にあわせて指が勝手に擦る。
 生臭い声が携帯を通して全部ケンジに伝わっている。
 超ヤらしい。
 ヤらしくて、気持ち、い、い……。
「駄目、……止まんない」
「じゃあ、できるだけゆっくり触れよ?」
「あああっ、そう、してるっ」
 押さえようとする意思と、激しく動こうとする熱情。
 それがぶつかりあって、ぐるぐると渦を巻いているみたいだ。
 ずきんずきんとクリが脈打つのにあわせて、背骨に沿って震えが走る。
 尾てい骨のあたりから、頭の方にゾクゾクするような刺激が伝わっていく。
 普段、自分でしてる時には気づかなかった、刺激の伝わり方。興奮の高まり方。
 ひとつひとつが全部、快感に繋がっていく。
 
「マリさぁ」
「な、何っ……」
「俺、マリクリに会いたいな」
「あぅっっ」
 私の指が、勝手にそこを弾いた。
 慌ててまた動きをセーブする。
 
「会って、キスしたい」
「ぅんんんんっ」
 ああ――。
 駄目。
 指が。
 
「土曜日に会えるけどさ。でも、さすがにスケートリンクじゃ直接マリクリには会えないだろ?」
「え……あ、ああ、うん、うんっ」
「マリクリは俺に会いたくない?」
「あああああっ、あ、あ、会い、たいっ」
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2015/07/01(水)
 「なっ……」
 何か言い返そうとして、でもすぐ声を出してしまったことを後悔した。
 激しい羞恥に、顔がカーっと熱くなった。
 
「マリクリと話したいんだけど?」
「はあっ?」
「……マリクリぃ、起きてますかぁ?」
 突然、甘い声でケンジが囁く。
 電話をかける前までの興奮が微かに思い出された。
 でも……。
 
「ば、馬鹿、ちょっとっ……」
 声が上ずっているのがわかった。
 顔が熱い。
 全身が火照っている。
 興奮は消えたわけではないみたいだった。
 身体の奧の見えない場所に、押し込まれていただけだったらしい。
「聞こえてないのかなあ?」
「だからぁっ、私はマリクリじゃないっ」
「じゃあ、起こせよ」
「……え?」
「マリクリ~、起きろ~」
 馬鹿が電話越しに呼びかけてくる。
 ムードとか、さりげなさとか一切なかった。
 はっきりいって、大馬鹿プレイだ。
 なのに私は、ドキドキしちゃっている。
 頭が熱くて、ぼうっとなる。
 ――起きろだなんて、……どうしろっていうのさ。
 どう答えていいかわからず、ちょっとふざけて返した。
 
「返事がない。ただの屍のようだ」
「マリクリぃ~」
「……だからあっ」
「寝てるのか?」
「……知らない」
「触ってみ?」
 って、今、何言われた?
 わけわかんないし。
 ドキドキが激しくなる。
 ヤバい。――絶対無理。
 そんなエッチな提案に従うわけ……、え? あったか、自分!!
 何か左手がそろそろと下半身へ伸びていってる。
 ――嘘だろー、マジっすか。
 右手は携帯を耳に押しつけてる。
 微かに、ケンジの息の音が聞こえた気がした。
 そのことが後押しとなって、指が下着の縁をくぐった。
 すぐにそこに届いた。
「あっ、あのっ、……触った」
 ――ああ、私、何してんだろ?
 絶対にどうかしてる。
 っていうか、完全におかしくなってる。
 大丈夫か、私? いや、駄目です、馬鹿です、大馬鹿ですとも。
 私の口から熱い息が勝手に漏れる。
 ――ああ、携帯の電波は、こんな気配まで伝えてしまうですか。
 電話の向こうからも、微かだが興奮が伝わってくる。
 ケンジの声が、いつもと違っていた。
「マリクリ……」
「あ、……うん」
 うっひゃあ~! とうとう返事までしちまった。
 って、やっぱ私、絶対にどうかなってるわ。
 多分、この前の土曜日に、何かが変わったんだと思う。
 性欲魔神のまき散らすウイルスに感染したのかも。
「どうだ? マリクリ起きてる?」
 や、やだ……。
 初めてわかった。
 気がつくの遅すぎだと思うけど、クリ・フェチ野郎のいわんとしてること。
 そこはさっきたっぷり触ったせいで、敏感になっている。
 おまけに、たっぷりと溢れたもので、下着まで濡れている。
 私の指は、クリの状態を確かめるように、下の方へ潜り込んでいく。
 ――ああ、自分が自分じゃないみたい。
 指が勝手に動き、そして鋭い快感が走った。
「あっ」
「ふふ、感じた?」
「ば、馬鹿っ」
「マリクリは起きてるか?」
「……わかんない」
「じゃあ、ちょっとさすって、起こしてみ?」
 ああ馬鹿、ケンジ、ヤらしすぎ……。
 ヤらしくて、興奮する。
 どうしよう……。
 恥ずかしいのに、でも、したくなってる。
 
「あ、んんっ」
 クリを下から撫でていた。
 ソフトに、でも、しっかり触れている。
 気持ちいい……。
 
「マリクリ……」
「んんっ」
「起きたら、教えろよ」
「あ、あ、やっ……」
 なんか、ケンジにされてるみたいな感じだった。
 ケンジが何かいう度に、私の指が動く。
 ヤツの指示通りに動いてる。
 快感が走り抜け、またどくどくと溢れてくる。
 クリがずきずきと疼いていた。
 撫で上げると、その度に身体の奧が痺れたみたいになる。
 すぐに固く凝っていくのがわかった。


 襞の内側が熱い。
 縦に辿ると、溢れた愛液が指にまとわりつく。
 左右の襞が合わさるところに、コリっとした小さな感触がある。
 指が届く度に、そこは少しずつ体積を増していく。
「マリクリ~」
「……あ、あっ」
「どうだ? 起きた?」
「あの、……ぅ、うん」
「起きたんなら、ちゃんと『起きた』っていわないと……」
「起きた、あの、……ちょっと」
「そっか。おはよー」
「ば、馬鹿ッ」
 朝じゃない。深夜だって。
 それに、挨拶すなっ。
 だけど、ツッコミを言葉にする余裕が私にはない。
 心臓バクバクいってて、あそこはずきずきしてて。
「マジ可愛いんだよな、起き上がったマリクリ。普段は隠れてるくせに、顔出してさ」
「や、やだっ」
「マリとは逆だな」
「えっ?」
「オマエって、いつも態度でかいくせに、エッチの時は何ていうか、割とおとなしめじゃん?」
「……う、るさいっ」
「だけどマリクリは、普段は小さいけど感じると大きくなっ……」
「ばっ、もう言うなっ!」
 ケンジのセリフが終わらないうちに、私は悲鳴に近い声でそれを制した。
 顔から火が出そうだった。
 だけど指は離れようとしない。
 それどころか、そこの形を確かめるみたいに、勝手に滑っていく。
 まだそっとだ。ソフトにしか触れていない。
 それでも鋭い快感が走り抜ける。
 その快感以上に、これまで自分で触った時とは比べ物にならないほどの興奮がわき上がっていく。
 頭がくらくらするほど興奮して、それに追いつこうとするように快感も大きくなっていく気がする。
 
「挟めるようになったか?」
「あっ、んんんっ」
「挟んでみ?」
「いやあっっ」
 イやらしくて、恥ずかしくて、それが苦しい。
 なのに、私の指はヤツの要請に嬉々として応えていく。
 ケンジが何か言う度に、結局そのようにしてしまう。
 ――ああ、おかしくなる。
 興奮がまたひとまわり深くなる。
 ……もう、止めることなんてできない。
 止めたいとも思っていなかった。
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2015/07/01(水)
 頭の中を、熱いベールが覆っていく。
 そのうちアレが来そうな予感がある。
 突然ぶわっと快感が大きくなって、イきたくて仕方なくなる感じ。
 そうなったら自分では止められない。
 指が勝手に動いて、すぐにイっちゃうだろう。
 興奮はどんどん大きくなっている。
 欲求も膨らんでいる。
 でも、指、止めなきゃ。
 ケンジは、そうしたから。
 ああ、でも、すぐにまたちょっと動かしたんだっけ。
 だから私も、少し動かす。
 それだけで、鋭い快感が走る。

 ――ああ、ああっ。

 私の指は気持ち良さと連動している。
 自分の意思と無関係に止まったり動いたりはしない。
 自分で止めようと思わない限り、動き続ける。
 感じるポイントを外さずに快感を得ようとする。
 わかりやすくて簡単だ。
 でも、その簡単さが逆にもどかしかった。
 凄く感じているのに、何かが違う。

 ああっ。なんか、おかしい。
 したいのに、したくない。

 イきたいのに、イきたくない。

 激しく興奮しているのに、何かノリが悪い。
 たっぷり感じているにもかかわらず、違う快感を求めていた。
 激しく興奮すればするほど、別の欲求が生まれる。
 一人エッチじゃ物足りなかった。
 自分のコントロールを超えた快感。一人ではできないやり方。
 それが欲しい。
 自分のペースじゃなくて、おかしくされたい。
 それが私の望みだった。
 欲情した身体は、快感を欲しがっている。
 だけど今日はこれ以上せずに、このままエッチな気分でいよう。
 それも凄くヤらしくて、ドキドキする。

 胸の奧に熱がある。

 ヤツは起きているだろうか?
 そんなに時間はたってない。多分まだ起きてる筈だ。
 上半身を起こして腕を伸ばし、携帯を掴んだ。
 エッチな気分のまま、ヤツに電話する。
 その考えに、熱い興奮が湧いてくる。
 ――だけど、何て言おう?
 また今度エッチしたい、……とか?
 そこまであからさまに言っていいんだろうか?
 ストレートすぎないだろうか? 引かれたりしないだろうか?
 脳内シミュレーションはいつだって上手くいかない。
 ――出たトコ勝負だ。
 携帯の発信ボタンを押した。
 ちょっと勇気はいったけど、バンジージャンプに比べたらどうってことない。
 ……バンジーなんてしたことないけれども。
 コール3回で出なかったら切るつもりだった。
 呼び出し音を聴いた途端、メールにしとけばよかったと後悔した。
 だけど、3回目のコールが鳴り終わる直前、ヤツが電話に出た。
「ああ、マリ。……起きてた?」
「あ、うん。お風呂上がって髪乾かして、ベッド入ったとこ」
 まあ、嘘ではないけど。
 でも、何をどう話せばいい?
 頭の中が熱い。
 ――あー、やだ。焦るし。
 
「悪ぃ。別に明日でもよかったんだけどさ」
「こっちもまだ寝てなかったし」
「今度の土曜オマエと会うつもりだったんだけど、坂井なんかと出かけることになっちまって」
「あ、そうなんだ……」
 こちらの逡巡をよそに、ヤツはいたって平静な声だった。
 って、電話しろっていったの、そういう理由?
 ――何かムカつく。
 土曜に私と会うつもりだったぁ? そんな話聞いてないぞ? 約束した覚えもないし。
 ヤツが勝手にそう決めてて、勝手に変更したってこと? だったら、そんなこといわなきゃいいのに。
 ――さっきまでのエッチな気分、どうしてくれんのさ?
 ちなみに坂井というのはケンジの友だちだ。名前は聞いているけど、私は会ったことがない。
「でさ、オマエも来る?」
「え?」
「だから、スケート。嫌じゃなければ」
「え、あ、別に嫌じゃないけど」
 結局その後、私もスケートに行くことになった。
 っていうか、電話かける前とのギャップに、気分がついていけないっすよ。
 こちらの事情などおかまいなしに、会話は普通に続いた。
 ケンジはいつも通りで、私も表面上はそんな感じだった。
 なんていうか、セクシャルでもスイートでもない会話?
 私から「エッチしたい」なんていったら、一気に100メートルは引かれそうな空気だ。
 っていうか、そんなことを告げる1ミリの隙間も、0.1秒のタイミングもなかった。
 やっぱ脳内シミュは意味がない。
 ――無駄に会話の計画立てなくてよかったよ。
 自分自身のいきあたりばったりに微かな満足を感じた時、ケンジがぼそっと言った。
「ところで、マリクリはどうしてる?」
 やっぱコイツは、世界を破滅に導くKYの大王だ。
 隙間もタイミングも一切関係ない。ヘンタイ性欲魔神、いきなりの降臨だった。

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2015/07/01(水)
 あの日――。

 気がついたら、ぼんやりと天井を見上げていた。
 気絶、ってわけじゃないと思うけど、意識が飛んでいたみたいだ。
 頭も身体も飽和状態で、ぼうっとしていた。
 何か言われた気がした。
 ふと疑問が湧いた。
 ――私、何考えてたんだっけ?
 それとも何も考えてなかったんだろうか?
 それからまたしばらく、ただぼうっとしたままの時間があった。
 どれくらいたったのかはわからない。
 身体の違和感に気付いた。
 違和感の正体はすぐにわかった。
 服をまくり上げられ、裸に近い状態だ。
 それに、足と手首を縛られている。
 下半身は完全に裸で、いやらしい姿勢に固定されていた。
 
 ケンジが、頭の脇で何やらごそごそやっていた。
 私はただじっと黙っていた。
 気がつくと、ケンジが顔をのぞきこんでいた。
「大丈夫か?」
「あ、うん……」
 私の手に、ケンジの指が触れていた。
 手首をベッドのパイプに固定しているロープをほどいている。
 それが終わると、手首を縛ったロープが外された。
 身体にうまく力が入らなくて、全部お任せだ。
 その後、ヤツは私の膝と繋がっているロープをほどき、それから膝を曲げた形で足を縛り上げているロープに取りかかった。
 結び目はすぐに見つかったけど、きつく縛られているせいだろう、こちらは時間がかかった。
 
「しまった、赤くなってる……。擦れて痛かったろ? ごめんな」
「ああ、うん、大丈夫……」
 そうやって謝られても、どう答えていいかわからなかった。
 逆になんか、その心配そうな声に、ちょっぴり申し訳ない気さえした。
 って、私は何も悪くないけど。
 でも、ケンジが悪いとも思えなかった。
 少なくとも私は、酷いことされたとかまったく思っていなかった。
 確かに痛みはある。縛られたところが、ヒリヒリししていた。
 でもそれ以上に、怠かった。
 痛みがどうでもよくなるほどの気怠さ。
 逆にその倦怠感が、痛みを包み込んで優しい記憶に変えるような、深い安らぎに満ちていた。
 その後はまた、ケンジに手伝ってもらいながら、シャツを脱いだ。
 Tシャツもブラも全部外した。
 ちょっと暑いくらいにエアコンが効いていた。
 身体の方も余韻のような熱が残り、火照ったままだった。
 ベッドを軋ませながらケンジが上がってきた。
 添い寝するみたいに私の隣に横たわり、そっと髪を撫でられた。
 接吻を交し、抱きしめられながら、気がつくと私は眠っていた。
 その時のなんともいえない幸福感は、今でもぼんやりと思い出せる。
 激しい快感が、いつまでも甘い余韻となって残っていた気がする。
 泥のようになった身体は、だけど確かに満たされていたように思うのだ。
 
 あの日以来、その時の気怠さが何故か突然蘇ることがある。
 ふとした瞬間に、身体の奧にふわっと湧いてくる。
 体調や気分とは特に関係なさそうだった。
 自動販売機でジュースを買う時、自分の部屋で机に向かっている時、何気ない瞬間に何故か突然、あの時の怠さが蘇るのだ。
 気分や感情を、身体が勝手に思い出しているみたいな感じだ。
 そうなると、どうしたって私は、どぎまぎしてしまう。
 怠さの記憶は、すぐにその前に体験した激しい快感を思い出させる。
 そして――。
 なんともいえぬ恥ずかしさと、それに間違いなく欲求も湧いてくる。
 ――もうお腹いっぱい。
 あの時はそう思っていた。
 当分、エッチはしなくていい。
 そう考えていたくらいだ。
 なのに身体の方は、しっかり記憶していて、時々思い出そうとするみたいなのだ。
 ――えっと、あれから何日たったんだっけ?
 今日が木曜日だから、……5日ってわけか。
 まあ、その間はひとりエッチもしたいとか思わなかったけど。
 っていうか、これは全部ケンジのせいだ。
 変なこと覚えちゃったらどうすんのさ。
 ヘンタイのカレシ持つと、苦労するわ。いや、マジで。
 これはケンジのせい。
 全身がぼうっと熱いのも、布団を頭までかぶってドキドキしてるのも。
 確かに、あの日のことを思い出したから、っていうのはある。
 でも、私は別にヘンタイじゃない。縛られたのがよかったとか、そんな風には思ってない。
 ただ、ケンジの舌があんな風に動いて、なのにそこは開けっ広げで、されるがままで。
 それはどうしたって、気持ちよかったわけで。
 私としては、胸も結構感じるし、もっとあちこちキスされるのもいいな、なんて思う。
 
だけどあの時は、クリばかり延々と刺激された。
 そして、すぐにイきたくなってしまった。
 っていうか、あんまり簡単にイきそうになって不思議なほどだった。
 それに、なんていうか、あんなに感じてしまったのも。
 特にクリ吸われた時は、ビックリだった。
 イった後だから嘘みたいに敏感で、苦しいくらいだった。
 なのにそれがよくて。
 駄目になるっていうか、2度もイった後だっていうのに、いきなりまたイきそうになって。
 さすがにあれは自分じゃできない。
 それに、最初にイった時のやり方だって、自分でするのとは全然違う。
 似たような触り方をすることは、……ほら、できなくないけど。
 あ、ヤベ、濡れてるし。
 ――あ。
 なんか、どくってなった。
 指先でわかっただけでなく、その感触は間違いなくお腹の奧にもある。
 えっと……。
 指で挟んで、ちょっと動かしてみる。
「あぅっ」
 うわ、なんか、声でちゃったし。
 布団かぶっといて正解だったけど。
 クリは、襞の内側に隠れている。
 両側から挟むように触ると、中に小さな丸い形があるのがわかる。
 ゆっくりと、そのまま指を動かす。
 あ、あっ。
 気持ち、いい。
 でも。
 あの、……えっと。
 ――なんで私、一人でしちゃってるんだろ?

身体が熱かった。
 なんか、凄くしたくなってる……。
 っていうか、してるし。
 気がついたらあそこ触っていて、しかもどんどん濡れてきている。
 クリが疼いてる。
 指で挟むと、途端に身体がビクってなった。
 頭の中で、ヤツにぎゅーっと抱きしめられているところや、キスされているところを思い描こうとした。
 だけどそれは、上手くいかなかった。
 それよりも、こないだみたいに足を縛られ、舐められる想像ばかり浮かんでくる。
 ケンジの舌の感触を思い出そうとしてしまう。
 ――うっく。
 ぬるっと、指が滑った。
 中に固くて丸い感触がある。
 外側の皮を挟んで動かすと、なんか凄い快感だ。
 ……困った。
 指の動きが、いつもよりやらしい。
 ケンジのやり方を、真似している。
 両側からクリを挟んで、じっとそのまま止めておく。
 そうやって、欲求が高まっていくのを待つ。
 ああ、ずきずきする。
 もどかしい。
 じれったい。
 指、動かしたい……。
 
「んっ」
 はあ……。
 ちょっとだけ動かした。
 ちょっとだけでも、気持ちいい。
 気持ちよくて、またすぐに動かしたくなる。
 歯止めが効かなくなっていた。
 以前より、感じやすくなっているみたいな気もするし。
 少しだけ、また動かす。
 あっ……。
 なんか、すげー気持ちいいんですけど。
 ケンジっ。
 舐めて。
 イメージの中で、舐められる。
 舌が、凄く気持ちいい。
 ああ、それ。
 こないだされた、根元の方。
 下から指で、ケンジの舌が、あ、あ、あ。
 駄目、そんなに速くされたら、すぐにイっちゃうから。
 もっと感じていたい。
 だから、……そう、ゆっくり。
 息が熱い。
 私、すっごくヤらしくなってる。
 ケンジの舌の感触を思い出すと、どうしても指が速くなる。
 気持ちのいい場所を探ってしまう。
 舐めて。触って。吸って。
 いつの間にか、他のことを考えられなくなっていた。
 
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