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2015/07/01(水)
あの日――。
だけどあの時は、クリばかり延々と刺激された。
気がついたら、ぼんやりと天井を見上げていた。
気絶、ってわけじゃないと思うけど、意識が飛んでいたみたいだ。
頭も身体も飽和状態で、ぼうっとしていた。
何か言われた気がした。
ふと疑問が湧いた。
――私、何考えてたんだっけ?
それとも何も考えてなかったんだろうか?
それからまたしばらく、ただぼうっとしたままの時間があった。
どれくらいたったのかはわからない。
身体の違和感に気付いた。
違和感の正体はすぐにわかった。
服をまくり上げられ、裸に近い状態だ。
それに、足と手首を縛られている。
下半身は完全に裸で、いやらしい姿勢に固定されていた。
ケンジが、頭の脇で何やらごそごそやっていた。
私はただじっと黙っていた。
気がつくと、ケンジが顔をのぞきこんでいた。
「大丈夫か?」
「あ、うん……」
私の手に、ケンジの指が触れていた。
手首をベッドのパイプに固定しているロープをほどいている。
それが終わると、手首を縛ったロープが外された。
身体にうまく力が入らなくて、全部お任せだ。
その後、ヤツは私の膝と繋がっているロープをほどき、それから膝を曲げた形で足を縛り上げているロープに取りかかった。
結び目はすぐに見つかったけど、きつく縛られているせいだろう、こちらは時間がかかった。
「しまった、赤くなってる……。擦れて痛かったろ? ごめんな」
「ああ、うん、大丈夫……」
そうやって謝られても、どう答えていいかわからなかった。
逆になんか、その心配そうな声に、ちょっぴり申し訳ない気さえした。
って、私は何も悪くないけど。
でも、ケンジが悪いとも思えなかった。
少なくとも私は、酷いことされたとかまったく思っていなかった。
確かに痛みはある。縛られたところが、ヒリヒリししていた。
でもそれ以上に、怠かった。
痛みがどうでもよくなるほどの気怠さ。
逆にその倦怠感が、痛みを包み込んで優しい記憶に変えるような、深い安らぎに満ちていた。
その後はまた、ケンジに手伝ってもらいながら、シャツを脱いだ。
Tシャツもブラも全部外した。
ちょっと暑いくらいにエアコンが効いていた。
身体の方も余韻のような熱が残り、火照ったままだった。
ベッドを軋ませながらケンジが上がってきた。
添い寝するみたいに私の隣に横たわり、そっと髪を撫でられた。
接吻を交し、抱きしめられながら、気がつくと私は眠っていた。
その時のなんともいえない幸福感は、今でもぼんやりと思い出せる。
激しい快感が、いつまでも甘い余韻となって残っていた気がする。
泥のようになった身体は、だけど確かに満たされていたように思うのだ。
あの日以来、その時の気怠さが何故か突然蘇ることがある。
ふとした瞬間に、身体の奧にふわっと湧いてくる。
体調や気分とは特に関係なさそうだった。
自動販売機でジュースを買う時、自分の部屋で机に向かっている時、何気ない瞬間に何故か突然、あの時の怠さが蘇るのだ。
気分や感情を、身体が勝手に思い出しているみたいな感じだ。
そうなると、どうしたって私は、どぎまぎしてしまう。
怠さの記憶は、すぐにその前に体験した激しい快感を思い出させる。
そして――。
なんともいえぬ恥ずかしさと、それに間違いなく欲求も湧いてくる。
――もうお腹いっぱい。
あの時はそう思っていた。
当分、エッチはしなくていい。
そう考えていたくらいだ。
なのに身体の方は、しっかり記憶していて、時々思い出そうとするみたいなのだ。
――えっと、あれから何日たったんだっけ?
今日が木曜日だから、……5日ってわけか。
まあ、その間はひとりエッチもしたいとか思わなかったけど。
っていうか、これは全部ケンジのせいだ。
変なこと覚えちゃったらどうすんのさ。
ヘンタイのカレシ持つと、苦労するわ。いや、マジで。
これはケンジのせい。
全身がぼうっと熱いのも、布団を頭までかぶってドキドキしてるのも。
確かに、あの日のことを思い出したから、っていうのはある。
でも、私は別にヘンタイじゃない。縛られたのがよかったとか、そんな風には思ってない。
ただ、ケンジの舌があんな風に動いて、なのにそこは開けっ広げで、されるがままで。
それはどうしたって、気持ちよかったわけで。
私としては、胸も結構感じるし、もっとあちこちキスされるのもいいな、なんて思う。
だけどあの時は、クリばかり延々と刺激された。
そして、すぐにイきたくなってしまった。
っていうか、あんまり簡単にイきそうになって不思議なほどだった。
それに、なんていうか、あんなに感じてしまったのも。
特にクリ吸われた時は、ビックリだった。
イった後だから嘘みたいに敏感で、苦しいくらいだった。
なのにそれがよくて。
駄目になるっていうか、2度もイった後だっていうのに、いきなりまたイきそうになって。
さすがにあれは自分じゃできない。
それに、最初にイった時のやり方だって、自分でするのとは全然違う。
似たような触り方をすることは、……ほら、できなくないけど。
あ、ヤベ、濡れてるし。
――あ。
なんか、どくってなった。
指先でわかっただけでなく、その感触は間違いなくお腹の奧にもある。
えっと……。
指で挟んで、ちょっと動かしてみる。
「あぅっ」
うわ、なんか、声でちゃったし。
布団かぶっといて正解だったけど。
クリは、襞の内側に隠れている。
両側から挟むように触ると、中に小さな丸い形があるのがわかる。
ゆっくりと、そのまま指を動かす。
あ、あっ。
気持ち、いい。
でも。
あの、……えっと。
――なんで私、一人でしちゃってるんだろ?
身体が熱かった。
なんか、凄くしたくなってる……。
っていうか、してるし。
気がついたらあそこ触っていて、しかもどんどん濡れてきている。
クリが疼いてる。
指で挟むと、途端に身体がビクってなった。
頭の中で、ヤツにぎゅーっと抱きしめられているところや、キスされているところを思い描こうとした。
だけどそれは、上手くいかなかった。
それよりも、こないだみたいに足を縛られ、舐められる想像ばかり浮かんでくる。
ケンジの舌の感触を思い出そうとしてしまう。
――うっく。
ぬるっと、指が滑った。
中に固くて丸い感触がある。
外側の皮を挟んで動かすと、なんか凄い快感だ。
……困った。
指の動きが、いつもよりやらしい。
ケンジのやり方を、真似している。
両側からクリを挟んで、じっとそのまま止めておく。
そうやって、欲求が高まっていくのを待つ。
ああ、ずきずきする。
もどかしい。
じれったい。
指、動かしたい……。
「んっ」
はあ……。
ちょっとだけ動かした。
ちょっとだけでも、気持ちいい。
気持ちよくて、またすぐに動かしたくなる。
歯止めが効かなくなっていた。
以前より、感じやすくなっているみたいな気もするし。
少しだけ、また動かす。
あっ……。
なんか、すげー気持ちいいんですけど。
ケンジっ。
舐めて。
イメージの中で、舐められる。
舌が、凄く気持ちいい。
ああ、それ。
こないだされた、根元の方。
下から指で、ケンジの舌が、あ、あ、あ。
駄目、そんなに速くされたら、すぐにイっちゃうから。
もっと感じていたい。
だから、……そう、ゆっくり。
息が熱い。
私、すっごくヤらしくなってる。
ケンジの舌の感触を思い出すと、どうしても指が速くなる。
気持ちのいい場所を探ってしまう。
舐めて。触って。吸って。
いつの間にか、他のことを考えられなくなっていた。